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野茂の挑戦

今から24年前の夏の朝、いつものように梅田駅で降りた私は普段と違う熱気を感じた。地下鉄に通ずる通路は立錐の余地もないぐらい人で溢れていた。群衆は通勤の足を止めて、最近取り付けられた大きなテレビに、歓声を上げながら見入っていた。その画面にはメジャーリーグのオールスターゲームのマウンドに立つ日本人ピッチャーが映っていた、野茂英雄だ。当初は無謀な挑戦と受け止めていた多くの日本人は、その堂々たる勇姿を見た時、本当に誇らしく心からの声援を送ったに違いない。





年棒が1/14になりながらもドジャースとマイナー契約をした野茂は、新たな世界に覚悟を持って、果敢に挑んだ。その年に見事な成績を残し、チームの地区優勝にも貢献した。その後も素晴らしい活躍を続け、誰もが認める大リーガーとなった。イチローをはじめ、後に続く多くの日本人野球選手にメジャーリーグへの道を切り開いた、野茂の勇気ある決断と行動力に心からの敬意と大いなる称讃を贈りたい。


野茂は言わば、日本プロ野球界のイノベーターだ。その功績はイチローと共に永く讃えられるだろう。既存の価値観に捉われず、勇気と英断を持って新しい世界へ挑んでいく。今、日本で一番必要な人材だ。ますます萎縮していく社会で、果たして野茂のような天才が産業界にも現れるだろうか?一縷の望みを持って待ちたい。





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