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イチローの自己管理力

イチローは100年に一人という選手だ。いや、それ以上かもしれない。メジャーリーグの錚々たるスーパースターの中でもあれだけの数字を残した者はそうはいない。前人未踏の10年連続200本安打、1シーズン262本の最多安打など決して破られることのない数字が並ぶ。殿堂入りは確実だ。日本人選手の殿堂入りは、もちろん初めてのことだが、イチローが最初で最後かもしれない。


信じられないほどの身体能力、類稀なる強靭な精神力・・・。この怪物にはどれをとっても想像を絶する能力が備わっている。その中でも一番凄いのはイチローの自己管理力だ。どんな時でも、どんな状況でも最高のパフォーマンスができる準備を怠らない。だから怪我もしない。それを何年も何年も続けてきた結果、誰も到達できない領域に辿り着いた。彼自身も言っている、「普段の小さい事の積み重ねが、やがて大きな所へ行ける唯一の方法」これぞプロ中のプロの言葉だ。ストイックな生き方などと軽い言葉で表現できないほど、深くて重い。





私にはいつもイチローがバッターボックスで精神統一をしているかのように立てるバットが、刀に見えた。変幻自在のバットが動いて一閃、数多くのドラマを生み、アメリカ人の度肝を抜いた。孤高の天才イチローの自己を律するその生き方は、武士道精神の究極の美学を見ているような気がしていた。


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