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映画はどこへ行った

最近、あまり映画館に行かなくなった。観たいと思う映画がないのが一番の理由だ。最近の流行りの映画の特徴は、まるでゲームで遊んでいるような目まぐるしく変わる展開の早さなんだろう。CGで作った、見たこともない映像が、まるでお化け屋敷のお化けのようにこれでもかと言わんばかりに、次から次へと襲いかかってくる。最初から最後までそれに終始して、いつの間にか終わっている。ただそれだけで、中身のない、脚本も無茶苦茶な映画ばかりが目に付く。この頃はオスカーを受賞した作品さえも見劣りしてしまう。



アメリカAFIの過去100年の名作映画ランキングでは、ベスト100の内、21世紀に製作された映画でランキング入りしたのは、たった1作品(ロードオブザリング)だそうだ。ヨーロッパでも同じ結果が出た。いいプロデューサーがいないから、いい映画ができない。予算が付かないから、CGで誤魔化す。この悪循環から当分抜け出せそうにない。最近は日本の「ゴジラ」も使われるくらいハリウッドはネタを探すのにも苦労している。やはりCGに頼って、中身のない映画を作るしかないのだろうか。





私は小学生の頃から、夢中になって映画を観た。そして多くの名作に影響を受けた。ジョンフォード監督の<駅馬車>の迫力のある画面から西部劇が好きになり、チャップリンの<街の灯>で人の優しさと不合理さを知り、<理由なき反抗>を観て、ジェームスディーンのカッコ良さを真似た、<ゴッドファーザー>のニーノロータの美しくも悲しいメロディが心に沁み、<風と共に去りぬ>の不屈に生きるヴィヴィアンリーの姿から力をもらった、<サウンドオブミュージック>はジュリーアンドリュースのあの美しい歌声が今も耳に残るミュージカルの最高傑作だ。あの頃のアメリカ映画の底流には「人間讃歌」のメッセージが弛まなく流れていた。数々の感動と共に、生きる術を学んだ。美意識やマナー、喧嘩の仕方や女の子の口説き方まで・・・・。


歳をとったら、古き良き時代の、人間味に溢れた素晴らしい映画をまたじっくりと観てみたい。


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