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時代小説は面白い

20代に推理小説や現代小説ばかりを読んでいた私は30才になった頃、なぜか取り憑かれたように時代小説を読み耽った。、初めて時代小説を読んだ時は何か懐かしく、今までとまったく違う世界に触れた感触が妙に気に入って、どんどんとのめり込んで行った。私を特に夢中にさせた最初の小説は、池波正太郎の「仕掛人梅安」だ。普段は物腰優しい鍼医者だが、一度殺しの依頼が来ると隙のない仕掛人に変貌する。ただ中学生の頃、テレビでも放映されていたがあまり見ていなかった。それはその前に放映されたいた「木枯らし紋次郎」があまりにも衝撃的で、面白かったからだ。笹沢左保の作品だが、その後も30歳を過ぎて、面白くて活字でも繰り返し読んだのを憶えている。


池波正太郎は江戸の庶民生活に精通し、かつ遊び心と粋のある数少ない書き手だと思う。庶民の息づかいが聞こえてくるようなシーンが随所に散りばめられている。読んでいて夢中になるし、とても心地がいい。仕掛人の緊迫したシーンの合間に織り交ぜられた食事や遊び、女、気晴らしのシーンなどエンターテイメント性も飽きることがない。彦次郎と食べるドジョウ鍋や香具師の元締の音羽の半右衛門の女房とのやりとりなどメリハリの効いた展開もとてもいい。読んでいても行間からその余韻も伝わってきて、何度読んでも面白い。





それから「鬼平犯科帳」や「剣客商売」に至り、池波正太郎を読破した。その後も藤沢周平、山本周五郎、笹沢左保、吉川英治、柴田錬三郎、山田風太郎、宮部みゆき・・・などを読んでいった。それぞれの作家の個性が出ていて、どれもあっという間に読み終えた。結局時代小説のおもしろさは、この国で人々が営々と築いてきた暮らしそのものおもしろさだ。



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