情報のデジタル化により紙媒体の多くの広告が衰退していく中、多少は減ったにせよチラシは依然としてその地位を守り続けている。特に折込チラシのように消費者に直接届き、強烈なインパクトを与えるメデイアは何物にも代え難い。「地域密着」「詳細な情報」「タイムリー」などの要素を併せ持つ強力メディアだ。中にはクリエティブには程遠いものもあるが、広告の重要な要素がすべて詰まったチラシを制作することは、グラフィックデザイナーを目指すものには絶対に学ばなければならないものだ。
現代のWebサイトはあえて言えばまさにデジタル版チラシだ。情報を節操のないレイアウトで、動画や映像を詰め込みたいだけ詰め込んで、これでもかと執拗に追いかけてくるような印象を受ける。サイト制作時にどうしてもプログラマーの権限が強くなるので、デザイン性がおざなりにされるのは残念だ。しかしながらやがてプログラマーが担っていた作業部分の多くはAIの役割となるだろう。それを見越してWebサイトでもクリエイティブが発揮できるよう、グラフィックデザイナーはさらに感性を磨き上げたい。
広告も今やほとんどがデジタル媒体を利用することになった。スピードではアナログのチラシも叶わない。データを駆使して消費者に無駄なく届くSNS広告の方が有効性が高いのは否めないので、広告のあり方も変わっていかざるを得ない。クリエイティビティを失いつつあるデザイン業界に、新たな展開があるのか見通せない。
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